作品データ
原題
Hytti nro 6
ジャンル
ロードムービー
監督
ユホ・クオスマネン
出演
ラウラ:セイディ・ハーラ
リョーハ:ユーリー・ボリソフ
イリーナ:ディナーラ・ドルカーロワ
車掌:ユリア・アウグ
トミ・アラタロ:ギターを持ったフィンランド人
製作国
フィンランド
公開年
2023年
上映時間
107分
あらすじ
ここからは、ネタバレ多少あります
1990年代のロシア・モスクワで、フィンランド人留学生のラウラは、大学教授の恋人のイリーナと一緒に北極圏のムルマンスクにあるペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く予定でした。
しかし、イリーナに仕事が入ってしまい、一人で寝台列車に乗り込みます。
そこで、同じ6号コンパートメントにいたのは、粗野で酒を飲みタバコをたくさん吸う鉱山で働くリョーハでした。
初対面の印象は最悪だった二人ですが、長い旅の中で徐々に心を通わせていきます。
ロシアの雪景色や文化に触れながら、境遇の全く違う二人が旅するロードムービーであり、ラブストーリーでもあります。
この映画は、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞するなど、世界中で高い評価を得た作品です。
鑑賞後の感想
ラウラとリョーハたちと寝台列車でのロシア旅行をする気分が味わえてよかったです。
寒々としたシーンが多いのに、心が温まる作品でした。
興味を持たれた方は、ぜひご覧になってみてください。
物語
ここからは、多くのネタバレがあります
ラウラは、フィンランドから語学を学ぶためロシアに留学中、大学教授のイリーナと恋人関係になり彼女の影響で考古学に興味を持ちます。
ラウラは、イリーナと一緒に北極圏にあるペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く予定でした。
しかし、イリーナは仕事の都合でドタキャンし、ラウラは一人でモスクワからムルマンスクまでの寝台列車に乗り込むことになります。
そこで、ラウラは6号コンパートメントにリョーハという男と乗り合わせることになります。
リョーハは、採石場で働いていて、酒を飲みながら食べ散らかし、汚い言葉を吐き、タバコを吸い、ラウラに対しても横柄な態度をとります。
ラウラは、リョーハに嫌気がさしますが、部屋を変えることもできず、仕方なく彼と同じ部屋で旅をすることになります。
長い旅の中で、ラウラとリョーハは、列車の中や途中下車での出来事を通して、お互いのことを少しずつ知っていきます。
ラウラは、彼の石の加工工場で働いたお金を貯めて自分の事務所を構え、事業を起すという夢の話を聞いたりしていくうちに、彼に対する印象を変えていきます。
リョーハも、ラウラの考古学への思いや、彼女の恋愛事情に興味を持ち、彼女に対して優しくなっていきます。
ムルマンスクに到着する前日二人は食堂車で到着の祝杯をあげ、その後恋愛関係になります。
しかし、駅に到着する前にリョーハは姿を消してしまいます。
やがて、ラウラは、ムルマンスクに到着し、ホテルへいきます。
ペトログリフを見に行こうとしますが、ホテルの受付で冬は道が悪くて行けないと言われ別のツアーを案内されます。
ラウラは、諦めきれず鉱山へリョーハを探しに行き一緒にペトログリフを見に行くことにします。
二人は、何とかペトログリフにたどり着きました。
ネタバレ含む感想
冬のロシアの寒さが伝わってくる映像が沢山ある映画でした。
また、それとは対称的に心が温かくなる人々の心の交流が描かれている作品でした。
スマホのなかった時代を懐しく思えました。
このあとラウラとリョーハはどうなったのか気になる終わり方でした。
まとめ
コンパートメント映画とは、寝台列車の個室(コンパートメント)で出会った男女の関係を描く映画のジャンルです。
このジャンルの代表作は、2021年にカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した『コンパートメントNo.6』です。
この映画のテーマは、自分の人生を生きることの大切さと、旅で出会った人とのつながりの意味です。
主人公のラウラは、モスクワに留学中のフィンランド人学生で、知的で美しい教授のイリーナと恋愛関係にあります。
しかし、イリーナはラウラのことを友人たちに「フィンランドの友達」としか紹介してくれません。
ラウラはイリーナや彼女の友人たちの「美しい世界」に憧れていますが、どうしたらいいかわからないまま、イリーナから教えてもらった古代のペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く旅に出ます。
そこで、彼女が乗り合わせたのは、モスクワのインテリたちとは正反対の、粗野なロシア人労働者リョーハです。
ラウラは最初はリョーハに嫌悪感を抱きますが、次第に彼の裏表のない性格や無邪気さに惹かれていきます。
ラウラとリョーハは、列車の中や停車駅で様々な出来事に遭遇しながら、互いに心を通わせていきます。
ラウラはリョーハとの出会いを通じて、自分の殻から飛び出すことの大切さを知り、自分の人生を生きる覚悟ができていきます。
この映画は、ラウラの成長と変化を、狭い列車内と広い風景の対比や音楽の効果的な使用などで表現しています。
人は出会いと別れを何度も繰り返す中で、一瞬の出会いが後の人生を照らし出すことがあるということを描いている作品です。