作品データ
タイトル
はちどり
原題
벌새
House of Hummingbird
ジャンル
青春ドラマ
監督
キム・ボラ
製作国
韓国
公開年
2018年
上映時間
138分
出演
キム・ウニ(主人公の少女):パク・ジフ
キム・ヨンジ(漢文塾の女性教師):キム・セビョク
ウニの父:チョン・インギ
ウニの母:イ・スンヨン
キム・スヒ(ウニの姉):パク・スヨン
キム・デフン(ウニの兄):ソン・サンヨン
チョン・ジスク(ウニの親友):パク・ソユン
キム・ジワン(ウニのボーイフレンド):チョン・ユンソ
ペ・ユリ(ウニに想いを寄せる後輩):ソル・ヘイン
ヨンジの母:キル・ヘヨン
あらすじ
ここからは、ネタバレ多少あります
1994年のソウルを舞台に、思春期の少女ウニが家族や社会との関係の中で揺れ動きながら成長していく姿を繊細に描いたものです。
ウニはソウルの集合住宅に両親・兄・姉と暮らす中学2年生。
家庭では父の権威が強く、兄は優遇され、ウニは無関心に扱われています。
学校にも馴染めず、親友ジスクやボーイフレンドとの関係も不安定です。
漢文塾で出会った女性教師ヨンジとの交流が、ウニの心に大きな変化をもたらします。
監督はキム・ボラで、彼女自身の体験をもとにした長編デビュー作です。
韓国国内外で50以上の映画賞を受賞し、高く評価されています。
鑑賞後の感想
思春期の孤独感や、女性の生きづらさ、社会の揺らぎなどが繊細に描かれていて良かったです。
興味を持たれた方は、ぜひご覧になってみてください。
物語
ここからは、多くのネタバレがあります
主人公ウニ は、家族や学校から愛されていないと感じる少女です。
周囲にうまく馴染めず、孤独を抱えています。
家族は厳格な父、無関心な母、暴力的な兄、疎遠な姉で構成され、家庭内には抑圧的な空気が漂っています。
学校でも教師の暴力や同級生との摩擦があり、彼女は社会の理不尽さに少しずつ気づき始めます。
そんな日常に、新しい漢文の女性教師のヨンジ先生との出会いで変化が始まります。
ヨンジ先生は、ウニにとって初めて心を通わせられる大人でした。
手術・失恋・親友の裏切り・塾でのトラブルなど、ウニの心は揺れ続けます。
そして、ソンス大橋崩落事故でヨンジ先生が亡くなり、ウニは深い喪失を経験することになります。
しかし、先生からの手紙に「世界は不思議に美しい」と書かれていました。
ネタバレ含む感想
思春期の少女の視点から描かれた繊細な表現が心に残る名作でした。
ソンス大橋崩落事故でウニが心を開くことができたヨンジ先生が亡くなるという悲しい結末でしたが、悲しい中にも希望が描かれていて良かったです。
まとめ
ウニの視点を通して、他者との距離や自分の居場所を模索する姿が描かれます。
韓国社会に根付く男性優位の家父長制文化が、ウニや母、姉の生きづらさとして表現されています。
ヨンジ先生との関係は、ウニにとって「世界を信じるきっかけ」であり、彼女の死は「世界の理不尽さ」を突きつけます。
そしてラストの手紙の「世界は美しい」という言葉が象徴するように、痛みの中にも希望や美しさがあるという静かな肯定が描かれます。
この作品は、1990年代のソウルを舞台に、少女ウニの内面と社会の揺らぎを繊細に描いた韓国のインディペンデント作品です。
監督はキム・ボラで、彼女の半自伝的な視点が色濃く反映されています。